インプラント - よくある質問

よくある質問

Q 1そもそもインプラントとは何なのでしょうか?

インプラントとは、体内に埋め込む医療機器や材料の総称です。心臓のペースメーカー、人工関節、美容成形の目的で体内に埋め込むシリコン材料等は、いずれもインプラントです。歯が無くなった場合に、顎骨に埋め込む人工歯根もインプラントの一つであり、正確には歯科インプラント(デンタルインプラント)と呼称されます。しかし一般的には、歯科インプラントの意味で「インプラント」という言葉が用いられることが多いので、以下インプラントという言葉を使用します。

Q 2インプラント治療の歴史について教えてください。

ヨーロッパでは上顎に鉄製のインプラントが埋まっている紀元3世紀頃のローマ時代の人骨が発見されています。また、中南米では下顎に貝で作られたインプラントが埋まっている紀元7世紀頃の人骨が発見されています。このように、インプラントの歴史はとても古いのですが、確実な治療法になったのは比較的最近です。1952年に金属のチタンを骨の中に埋めると骨と結合する現象が発見され、1965年にスクリュー形状(ネジのような形状)のチタン製のインプラントの臨床応用が開始されました。骨と結合するインプラントの登場によって、インプラントの臨床成績は著しく向上しました。このように骨と結合するインプラントの臨床結果が優れていることが世界的に知られるようになったのは、1980年代になってからです。その後、インプラントには様々な改良が加えられ、臨床成績がさらに向上しています。

Q 3インプラント治療とはどのような治療でしょうか?

齲蝕(虫歯)や歯周病(歯槽膿漏)によって、また外傷によって歯を失うことがあります。またヒトによっては先天的に歯が無い場合があります。そのような歯が無い部位の顎の骨にインプラントを埋め、そのインプラントに義歯を付ける治療方法がインプラント治療です。インプラント治療は1本の歯がなくなった場合から全部の歯がなくなった場合まで、適用できる治療方法です。

Q 4インプラントの材料は何でしょうか?

咬合力に耐えられる強度があり、生体親和性が高く、骨との結合することから、現在インプラント材料としては、主にチタンあるいはチタン合金が使用されています。インプラントと骨との結合を促進する目的で、インプラント表面を様々に改変したインプラントが多く用いられています。

Q 5インプラントの構造を教えてください

骨の中に埋める部分をインプラント体、インプラント体と義歯の間の部品をアバットメントと呼びます。一般的にアバットメントはスクリューでインプラント体に固定されています。

インプラントとその上に付ける義歯の構造 骨の中に埋める部分をインプラント(a)、インプラントと義歯の間の部品をアバットメント(b)と呼びます。一般的にアバットメントはスクリュー(c)でインプラント体に固定されています。この図のように、アバットメントの上にセメントを用いて義歯(この図の場合は冠、d)を付ける場合と、スクリューで義歯をアバットメントに、あるいはスクリューで義歯をインプラント体に付ける場合があります。

インプラントの構造図

アバットメントの上に義歯が付きますが、義歯がインプラント体に直接付く場合もあります。義歯が外れないように、セメントを用いて義歯を付ける場合と、スクリューで義歯をアバットメントあるいは義歯をインプラント体に付ける場合があります。

このように、セメントあるいはスクリューで義歯を付けた場合、患者さん自身で義歯を外すことは不可能です。 一方、インプラント体の上に特殊な装置(アタッチメント)を付けて、義歯の内面にもそれと接続可能な装置を付けることで義歯(入れ歯)を安定させると同時に、 患者さん自身が義歯を取り外すことが可能な治療法があります。このようなインプラントを用いて取り外し可能な義歯を安定させる治療法を、インプラントオーバーデンチャー(implant-supported overdenture)による治療法と呼びます。

Q 6インプラント以外の治療法についても、教えてください。

歯が無くなった場合、歯を無くした部位にもよりますが、咬めない、喋りにくい、みっともないといった不具合が起きます。その不具合の解決方法として、 取り外し可能な義歯(入れ歯)による治療、ブリッジによる治療、インプラント治療が考えられます。

その他には、歯が無い部位に口の中の他の歯を移植する歯の移植による治療も考えられます。それぞれの治療法には利点と欠点があります。どの治療方法を選択するかは、慎重に決める必要があります。歯科医師の説明を良く聞いて、不明な点については遠慮されずに質問されることをお勧めします。

入れ歯とブリッジの図

Q 7インプラント治療のメリットは何でしょうか?

インプラント治療の利点は、義歯をしっかりと固定できることです。インプラント治療においては、残っている歯を削ったり、残っている歯に義歯を安定させるための装置を付けたりすることはしません。残っている歯に負担をかけずに治療をおこなうことができることも、インプラント治療の利点です。

Q 8インプラント治療のデメリットは何でしょうか?

インプラント治療の欠点として、インプラントを埋入するための手術を受ける必要があるため、全身状態が良くない場合には適用が難しいこと、治療期間が長いこと、治療費が高額であることが挙げられます。 現在のインプラントは骨に結合するのですが、粘膜との結合が強くないため、天然の歯に比較すると感染に弱いことも欠点です。さらに、インプラント埋入予定部位に骨が十分に存在しない場合、治療が困難であることも欠点です。 またインプラント治療において問題が起きた場合には、その問題の解決が難しいことも欠点です。

Q 9インプラント治療には二通りの方法があるようですが、その違いを教えてください。

インプラント治療には1回法と2回法の二つの方法があります。「1回法」においては、インプラントを顎の骨に埋めた直後に、インプラントの一部、あるいはインプラントの上部に付けた部品が粘膜の上に露出します(図8A)。 一定期間(下の顎では2-3カ月程度、上の顎では4-6カ月程度)を経た後に、型を採って義歯の作成をおこないます。「2回法」においては、インプラントを顎の骨に埋めた後に、その上を粘膜で完全に覆います。 そして、一定期間(下の顎では2-3ヶ月程度、上の顎では4-6ヶ月程度)を経た後に、インプラント上部の粘膜を再度切開して(2回目の手術)、その上に部品を付け、1回法と同様に義歯の作成をおこないます(図8B)。

インプラントを顎の骨に埋入した後に、インプラントが骨としっかりと結合するためには一定の期間が必要です。 インプラントを埋入してからインプラントが骨と結合するまでの期間は、インプラント埋入部の骨の状態や使用したインプラントによって異なります。 したがって、インプラントを埋入してから、義歯を付けるまでの期間は個々の症例において判断されています。

インプラント埋入した直後に、インプラントに義歯(通常は仮の義歯)を付ける治療法を「即時荷重」と呼びます。 一定期間を経て、最終的な義歯を作成して、装着して治療を終了します。即時荷重をおこなっても、治療開始から終了までの期間はあまり変わりませんが、インプラント埋入手術直後に義歯を装着することで、術後の不便さを解消することができます。 即時荷重にはすぐに歯が入る利点もありますが、しかし、症例の選択が難しく、また術者の経験と技術が必要な治療です。 もし担当医から即時荷重を提案された場合には、治療を受けた場合に起きるリスクについても充分に説明を受けてください。

Q 10インプラント治療は誰でも受けられますか?

他の歯科治療と異なり手術を伴う治療であると同時に、治療終了後も十分なケアが必要です。 高血圧症や心臓疾患等の循環器系疾患、喘息等の呼吸器系疾患、糖尿病や骨粗鬆症等の疾患、腎臓や肝臓の機能障害がある場合には注意が必要です。 また、現在服用されている薬によっては、インプラント治療が適さないこともあります。 インプラント治療を担当する歯科医師から、全身状態や服薬状態について聞かれた場合には、正確に答えてください。

インプラント埋入予定部位に充分な骨が存在しない場合には、インプラント治療をおこなうことが困難です。 インプラント埋入手術の前、あるいは埋入手術と同時に骨を造るための手術をおこなうことで、インプラント治療をおこなうことは可能ですが、患者さんの負担が増加します。

さらに、歯周病に罹患している患者さんや喫煙される患者さんにおいては、治療後のインプラントの残存率(寿命)が低いことが知られています。歯周病に罹患している場合は歯周病の治療を優先しておこない、喫煙されている場合は減煙あるいは禁煙してから、インプラント治療を受けることをお勧めします。

Q 11インプラント治療の費用について教えてください。

通常のインプラント治療には健康保険が適用できませんので、全額患者さん負担の自費診療となりますので、治療費は高額になります。 しかし、最近外傷や腫瘍等の病気で顎骨を失った場合や、その部位に骨移植をおこなって再建した場合、先天的に歯や顎骨を欠損している場合に限って、インプラント治療に健康保険が適用されることになりました。 治療前の検査、インプラントを埋め込む手術、義歯による治療を含めて、治療が全て終了するまでに必要な治療費を、しっかりと確認してから治療を受けるようにしてください。

Q 12インプラント治療の治療期間について教えてください。

インプラント治療においては、治療を開始から治療終了までの期間は、個々の症例によって異なります。顎の骨にインプラントを埋めてから、インプラントに骨が結合するためには、一定の期間が必要であり、この期間はインプラントを埋めた部位の骨の状態に大きく影響されます。 また、インプラント治療部位の骨の造成が必要な場合には、さらに治療期間が延びることになります。 インプラント治療を受ける前には、治療期間についても、しっかりと確認してから治療を受けるようにしてください。

Q 13インプラント治療の手順について教えてください。

インプラントの治療は、順番に「インプラント埋め手術」、「義歯の作製と装着」、「メインテナンス」と続きます。

インプラント治療においては、インプラントを顎の骨に埋入する手術(インプラント埋入手術)を受けなくてはなりません。 インプラント治療の方法として2回法が選択された場合、インプラント埋入手術と、インプラントの上部の粘膜を切開する手術の2回の手術が必要です。 骨の造成が必要な場合は、インプラント埋入手術の前に別個におこなう方法と、インプラント埋入手術と同時おこなう方法があります。

インプラント埋入した後、一定期間を経て、型を採ってインプラントの上に付ける義歯の作成をおこない、義歯を装着します。

インプラント治療が終了した後、定期的に治療を受けた歯科医院に通院し、インプラント治療を受けた部位を含めて問題が無いかを診てもらうことを「メインテナンス」と呼びます。 治療を受けた部位に何も不具合が無い場合も、定期的に通院して診てもらうこと(メインテナンス)は、治療した状態を長期良好に維持するために大変重要です。

Q 14インプラント治療の前にCTを撮る必要があるのでしょうか?

CTを撮影することで、上顎、下顎の骨の3次元的構造、骨の内部にある神経や血管の走行、さらにインプラント埋入予定部位の周囲の組織の状況が明らかになります。全ての症例にCT撮影が必須であるとは言えません。 しかし、CTを撮影することで、顎の3次元的な解析が可能ですので、より安全で確実なインプラント治療に繋がることは確かです。

Q 15インプラント治療は痛くないのでしょうか?

インプラント埋入手術の際には、歯を抜いたり歯を削ったりする時に使用する局所麻酔を使用します。 また手術時間が長い場合でも、麻酔医がいるところでは静脈内鎮静法を用いることで、楽に手術を受けることができます。 したがって、手術中に痛みを感じることはありません。しかし、麻酔効果は一定時間しか持続しませんので、手術後には鎮痛薬(痛み止め)を服用していただきます。術後の痛みは、症例によって異なりますし、痛みの感じ方の個人差もありますが、通常の場合、鎮痛薬を数回服用する程度で、痛みは次第に治まる筈です。 術後に長期間痛みが継続する場合は、担当医に問い合わせてください。

Q 16インプラント治療後に腫れは出ますか?

インプラント埋入手術後、インプラント部が腫れます。腫れる程度は手術の状況によりことなりますが、次第に腫れは引きますので心配はいりません。 また手術部位に関連して内出血が起きて顔の一部が紫色になることがあります。このようになった場合にも心配はいりませんが、治療を受けた先生にご相談ください。

Q 17インプラント治療後の注意点について教えてください。

インプラントは骨としっかりと結合しますが、天然歯と比較すると粘膜との結合は強くないため、感染をきたしやすいという欠点があります。したがって、歯ブラシやその他の器具を用いた患者さん自身による毎日の口腔清掃がとても重要になります。さらに、治療後に良好な状態を長期にわたって保つためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。インプラント治療後に起きる問題を未然に防ぐため、あるいは問題が起きても早期に解決するためには、とにかくメンテナンスが重要なのです。患者さん自身による口腔清掃が十分でない場合、あるいは定期的なメンテナンスが行われない場合は、いずれも何らかの問題が生じる可能性が高くなってきます。

Q 18インプラント治療終了後に起こりがちな問題について教えてください。

例えば義歯の破折(義歯の一部が欠ける)や義歯の脱落などが起こったり、義歯を固定しているスクリュー(ネジ)、または、アバットメント(インプラントと義歯の間の部品)を固定しているスクリューの緩みが起こったりすることがあります。また、インプラント周囲の感染(インプラント周囲粘膜炎、あるいはインプラント周囲炎)が起きることもあります。インプラント周囲粘膜炎はインプラント周囲の「粘膜」に限られた病変ですが、インプラント周囲炎はインプラント周囲の骨の吸収を伴う病変です。インプラント周囲炎はインプラントを失うことにもつながりますので、要注意です。

これらの問題を予防するためには、患者さん自身が行う日常の口腔清掃が重要です。さらに、患者さん自身が、治療部位を含めて常に口腔内の状況に関心を持ち、もし何か変わったことが生じた場合には、ただちに診察してもらうことが重要です。治療後の経過がいかに順調であっても、定期的なメンテナンスは必ず受けてください。

Q 19インプラント治療を受けた場合、MRIやCTによる画像診断への影響はありますか?

チタンあるいはチタン合金のインプラントを用いて治療を受けたケースなら、そのインプラントがMRIなどによる画像診断に影響を及ぼすことはありません。チタンは磁石に反応しないからです。しかし、インプラントの上部に磁石が付いた構造物が装着されている場合には、MRIの画像に乱れが生じることがあります。インプラント本体と人工歯をマグネットタイプで固定している方は、マグネット部分を外してからMRIを受けましょう。

大田歯科医院 概要

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